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2022.8.16

開発物語vol.15「カット済み たらこ・カット済み 辛子明太子~後編~」

カット済み たらこ・カット済み 辛子明太子の開発物語「後編」

前編は原材料の確保と卵の成熟についてお伝えしました。
後編では、「カット済み たらこ/辛子明太子」を製造しているメーカーさんにお話を聞きしました。後編もどうぞお楽しみください!

目次

  • 製造工程 衛生管理の基本
  • 製造工程 解凍~味つけ
  • 製造工程 選別
  • 製造工程 計量~出荷

製造工程 衛生管理の基本

<聞き手>
早速ですが、工場入り口のご説明からお願いします。

<メーカーご担当者>
はい。
製造現場に入る前は、専用の長靴に履き替える→手洗い、アルコール消毒→足洗い場で長靴の洗浄→エアシャワー→工場内へ入ります→毛髪チェック→ローラーがけ→服装チェック→手指のアルコール消毒を行っています。どれも当たり前のことですが、より良い商品を作るためにこのような基本を守ることが大切なんです。

<聞き手>
おいしさと同時に安心もお客さまにお届けするわけですね。

製造工程 解凍~味つけ

<メーカー担当者>
では、これから製造の流れを説明しますね。まずは、冷凍で運ばれた「すけそうだらの卵」を解凍します。解凍時に卵の旨味を損なわないように、温度管理している解凍機の中でゆっくりと時間をかけて解かすんですよ。季節によって異なりますが、予冷~解凍~保冷と温度を変えながら10時間以上かけるんです。

<聞き手>
そんなにも長い時間かけるんですね。

<メーカー担当者>
卵が解けたら下味用のオリジナルの調味液に浸けて味を調えます。味つけが均等になるように、一定時間ごとに上下を入れ替えながら漬け込みます。調味液の特長や浸ける時間など詳細なことは、企業秘密なのでお許しください…。

<聞き手>
当然ですよね、調味は各社の商品の味を左右するとても大切な工程ですもんね。

<メーカー担当者>
味つけが終わったらコンテナへ移動させるんですが、このコンテナも一枚ずつ殺菌したものなんですよ。お客さまが直接口にする生ものを扱っているので、細心の注意を払って器材の衛生管理も徹底しています。

製造工程 選別

<メーカーご担当者>
ここから機械は使用せず、すべてスタッフによる手作業なんですよ。卵についている付着物を一つずつていねいに取り除き、そして目的別に分けるんです。

<聞き手>
目的別というのはどういうことでしょうか…?

<メーカーご担当者>
大きくは2パターンですね。1つはたらこ用と辛子明太子。もう1つは生のまま食べるものと焼いて食べる加工用に分けます。

<聞き手>
たらこ用と辛子明太子用は、何を基準に分けるんですか?

<メーカーご担当者>
仕上げる商品によっても違いますが主に色目ですね。
一般的に色がそろっているものは“たらこ”、色にばらつきがあるものは“辛子明太子”と分けています。しかし、色にばらつきがあるからといって品質が劣る、というわけでは決してないんですよ。

<聞き手>
これらも全て手作業なんですね!

<メーカーご担当者>
そうですよ。
ここまでの工程は、たらこも辛子明太子も同じなんですが、辛味明太子はかつおだしが効いた調味液にもう一度浸けて熟成させる工程があるんです。 先ほど色のばらつきのあるものは、“辛味明太子”と言いましたが、調味液に2回浸けるので「たらこ」に比べると色が少し濃いんですよ。なので、必ずではないですが、色にばらつきがあっても整えやすいということで、色目ごとに用途を分けています。

製造工程 計量~出荷

<メーカーご担当者>
調味を終えたら、色目、本数、計量などの規格チェック、血管除去、トレーにきれいに収まるように形をきれいに整える作業などを行います。

<聞き手>
細やかな作業をされているんですね。色目はどのような色がOK、どのような色がNGなど基準はあるんですか?

<メーカー担当者>
色見本表を使って、一つ一つの色を確認して判断するんですよ。
その後、容器(トレー)の汚れと異物確認、ラップ包装、金属探知機チェック、包装後の計量、ラベル貼り、段ボール詰めを行います。こうしてできた商品は冷凍庫内マイナス18℃以下の急速凍結で冷凍させます。

<聞き手>
冷凍するのは、生ものなので衛生面に考慮してのことですか?

<メーカー担当者>
はい、そうですね。そのことも理由の一つですが、何よりも鮮度の良い商品を売り場へお届けするためなんですよ。冷蔵は冷凍に比べると鮮度が落ちやすいですし、賞味期限も短くなります。おいしい状態で全国のお客さまに食べていただくためには、冷凍が一番良い方法なんです。

<聞き手>
なるほど、そういう理由だったんですね。

<メーカー担当者>
輸送温度にはそれぞれの良さがあり、この商品は冷凍が最適というわけです。
製造時以外の衛生管理として、毎月、外部検査機関に6項目(生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、大腸菌)の検査を依頼しています。
皆さんに安心しておいしく召し上がっていただけるように、定期的に検査を行って品質管理に努めています。

<聞き手>
今回、たらこや辛子明太子が私たちの食卓に届くまで、手作業を含む多くの工程を経ていることを知り驚きました。
特に色目による仕分け、形を見映え良く整える整形工程は、想像していた以上のことで印象に残りました。 「いただきます」という言葉は、すけそうだらの卵の命をいただくことだけでなく、安心・安全でおいしいたらこや辛子明太子を送り届けてくださっているメーカーの皆さんにもお伝えしたいと思いました。