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2021.7.28

開発物語vol.3「フルーツ蒟蒻ゼリー(ぶどう・りんご・もも)~後編~」

商品開発のメインターゲットである、女性たちの視覚と記憶に訴える策とは…

前回は、ニチリウで初めて「フルーツ蒟蒻ゼリー」の開発に挑む担当者の奮闘をお伝えしました。長引くコロナ禍の影響で、大事な打ち合わせもままならないなか、試食を重ねようやく決まった味。のどに詰まるリスクを避けるため、個包装の形状にもこだわり、いよいよ最終ゴールに向けて加速していきます。メインターゲットとなる女性客を取り込むため、ある2つの策を打ち出しました。

他社商品と食べ比べていただくとわかるのですが、私たちの作った「フルーツ蒟蒻ゼリー」は、食感がやわらかいため、みずみずしく果汁感が強く感じられるんです。もちろん人によっては、「蒟蒻ゼリーなんだから、しっかりした食感が欲しい」というご意見もありました。しかし、その反対では「食感よりも果汁感が強い方が好き」というご意見もありました。

つまり、蒟蒻ゼリー特有の弾力のある食感が強いタイプと果汁感の強いタイプに分かれたんです。

今回の商品化のターゲットは、働き盛り・子育て世代の女性でしたので、彼女たちの意見を取り入れてみずみずしく果汁感の強い配合で決めました。こうしてモニタリングした結果をもとに、配合を決めていきました。

味×食感の組合せが決まりましたが、「おいしさ」を伝えていくためには、やはりパッケージも重要だと考えました。

そこで、「フルーツ蒟蒻ゼリー」のパッケージデザインは、果汁感を視覚で伝えると同時に、温かみを感じてもらえるデザインにしようと決めました。店頭に並んでいる「フルーツ蒟蒻ゼリー」を見ていただくとわかりますが、パッケージのほぼ下半分のスペースを使って果物の写真を載せています。イラストを使わなかったのは、果物のみずみずしさを感じてもらいたかったからです。

さらに、味の種類である「ぶどう・りんご・もも」の文字はあえてひらがな表記しました。漢字だと強い印象になりますし、女性向け好みのかわいらしい温かい雰囲気を意識しました。商品名も「フルーツ蒟蒻ゼリー」と、ご覧いただいた通り「フルーツ」を大きくしました。

もう一点仕掛けたのは、商品名です。「フルーツ蒟蒻ゼリー(ぶどう、りんご、もも)」が商品の正式名称ですが、あえて果物名を3つとも表記しました。

「蒟蒻ゼリー」って、健康を意識している方が選ぶ場合もあります。なので、普通のゼリーに比べるとおやつ感覚が薄れて、重い印象があるのでは?と思いました。そんなイメージを払拭するためにも、商品名に果実感をつけることで、幅広い層の方が、おしゃれで手にとりやすい商品であることをアピールしたいと考えました。

ちなみに、「ぶどう・りんご・もも」は、世の中で人気のある果物の味をランキング順に並べたものなんです。これを見ると、ぶどう味が一番好まれていることがわかります。

このようにキャッチコピーとして目を引くように、果物名を前面に出してパッケージデザインにも工夫を凝らしました。

こうして商品化された「フルーツ蒟蒻ゼリー」は、2021年3月から店頭に並び販売され始めています。できあがったた商品を見た時は、かわいくて仕方なかったですね。まるで大切なわが子を見ている感じがしました。

販売数は当初計画していたよりも3~4倍のペースで売れており、好調なスタートです。商品開発に多大な協力をしてくれたメーカーや販売店、なによりも「フルーツ蒟蒻ゼリー」を気に入って買ってくださるお客さまには、感謝の気持ちでいっぱいですね。

「フルーツ蒟蒻ゼリー」を作ろうという話が出た当初、それはお菓子なのか、健康食品なのか、一体どの売り場で売ればいいのかと悩む販売店もありました。お菓子として売ったことがない販売店は、不安を感じられる意見もありましたが、お菓子売り場での販売経験が豊富な販売店の意見を中心に開発を進めました。

最終的には、「お菓子として頑張って売ってみよう」と前向きな意見と賛同が多くありました。

こうした関係者たちが一丸となって、くらしモアの「フルーツ蒟蒻ゼリー」は誕生しました。1個はわずか約18gの軽く小さいものですが、そこには商品化に関わってきたたくさんの人の想いが詰まっています。お店で見かけた際は、ぜひ商品を手に取って、その想いを感じ取っていただけたらうれしいです。